パートナーが一人でも尖圭コンジローマになる?治療・再発と9価HPVワクチン

尖圭コンジローマ・HPV Update: 2026 / 08
パートナーが一人でも尖圭コンジローマになる?治療・再発と9価HPVワクチン

尖圭コンジローマの約9割は、HPVの6型・11型によるものです。潜伏期の個人差が大きいため、いつ・誰からうつったのかを、病変が出た時期からさかのぼることはできません。日本の厚生労働省のリーフレットでも、性感染症の受診先は男性の場合、泌尿器科や皮膚科と案内されています。

台中市西区の陳昭安(チェン・チャオアン)医師(泌尿器科専門医)が解説します。

結論から

  • ウイルス:HPV感染の多くは自然に消え、続いた場合に病変ができます。病変が出た時期から、感染の時期も相手もたどれません。
  • 治療:外用薬、凍結、電気焼灼、レーザーなど。見える病変を取り除くもので、体内のウイルスは消えません。
  • 再発:処置後に再び出ることがあります。とくに最初の3か月。治療の失敗ではありません。
  • ワクチン:予防のためのもので、すでにできた病変の治療には用いません。

早めに受診をおすすめする状態

出血・潰瘍、硬さや固着
指針は生検を勧めています。
短期間に大きくなった・数が増えた
処置しても変化がないときも同様です。
尿道口・肛門の内側・腟の奥
皮膚の表面とは処置の方法が変わります。
免疫が低下している・妊娠中
病変が広がりやすく、使える処置も限られます。

パートナーが一人でも、感染することがあります

潜伏期には大きな幅があります。日本の国立健康危機管理研究機構(JIHS)は尖圭コンジローマの潜伏期を数週間から3か月程度とし、IUSTI 2019年指針は、いぼ(疣贅)ができるまでの中央値を女性で約2.9か月、男性で約11.0か月としています。

米国CDCの2021年性感染症治療指針も、感染した時期は特定できず、いぼは数か月後にも数年後にも出ると明記しています。いぼが見えないときも相手にうつること、パートナーどうしがHPVを共有し片方だけに病変が出るのはよくあること、HPVがあることは関係の外での性行為があったことを意味しないことも、同じ指針に書かれています。

HPVと尖圭コンジローマ

HPVは200種類以上の型があり、皮膚と粘膜の上皮に感染します。低リスク型(主に6型・11型)は尖圭コンジローマの原因で、肛門性器のいぼの約9割を占めます。高リスク型(16型・18型など)は症状を出さずに持続し、子宮頸がんや肛門がんなどに関係します。

温泉でうつるという証拠はありません。CDC指針が挙げる経路は肛門と性器の接触が中心で、腟性交・肛門性交のほか、口腔性交や挿入を伴わない性器どうしの接触でも起こります。温泉・プール・便座はこの一覧にありません。

同じ指針は、現行のHPV検査はどの年齢の男性にも適したものではなく、尖圭コンジローマの診断にも用いないとしています。

治療と再発

CDC 2021年指針は、推奨される処置に優劣をつける確かな証拠はなく、すべての病変に適した単一の処置もないとしています。選択は病変の大きさ・数・部位、ご本人の希望、起こりうる有害事象、施術者の経験で決まります。

方法何をするか条件と起こりうること
レーザー蒸散・電気焼灼・切除・掻爬(医師が行います)熱で蒸散・凝固させる、または病変を取り除きます。局所麻酔が必要です。角化の強い病変や数が多い場合にも行えます。痛み、出血、感染、色素が濃くなる・薄くなる、まれに瘢痕が起こることがあります。肛門の周囲では排便時の痛みや瘻孔が起こることがあります。
凍結療法(医師が行います)低温で病変の組織を壊します。多くは麻酔なしで行えます。数回に分け、一定の回数を行っても消えない場合は別の方法を相談します。処置中と処置後に痛みがあり、その後に局所の壊死や水疱、色素の変化、瘢痕が起こることがあります。
外用薬(処方が必要。ご自分で塗ります)イミキモドクリームは局所の免疫反応を調節し、シネカテキン軟膏は緑茶葉の抽出物です。外性器と肛門周囲の、見えて塗れる病変が対象です。尿道・腟内・子宮頸部・直腸・肛門内には推奨されていません。成分にアレルギーのある方は使えません。塗った部位に紅斑、びらん、はがれ、むくみ、かゆみ、熱感、痛みが起こります。妊娠中・授乳中は使用しません。コンドームやペッサリーの働きを弱めることがあります。用法・用量と使用できる期間は、台湾の承認添付文書と医師の処方によります。

傷が治るまで、こすれる活動(性行為を含みます)は避けてください。色素の変化や瘢痕が起こることがあり、跡が残らないとはお約束できません。自分で切る、市販のいぼ取り薬を性器に塗るのはおすすめしません。

IUSTI 2019年指針は、どの治療のあとにも再発は起こるとし、再発率をおよそ20〜30%、追跡が長いほど高くなるとしています。BASHH 2024年指針も、どの処置が再発を減らすかを示す十分な証拠はないとしています。処置の時点で正常に見える皮膚にも、すでにウイルスが入っていることがあるためです。

9価HPVワクチン:予防であって治療ではありません

台湾の承認添付文書には、外性器の病変や各部位のがん・上皮内腫瘍の治療には用いないと明記されています。BASHH 2024年指針も、いぼがある人への治療的な効果は示されておらず、いぼの治療としては勧めないとしています。一方で同指針は、HPV関連の上皮内腫瘍や浸潤がんのリスクを下げる利益から、対象となる方にはいぼの有無にかかわらず接種の機会を提供すべきだとしています。まだ感染していない型は、性交渉があっても予防の範囲です。

適応(台湾の承認添付文書に基づく記載です)

台湾の承認添付文書の適応は9〜45歳への接種ですが、予防効果の記載は年齢と性別で層別されています。6型・11型による性器疣贅(尖圭コンジローマ)は9〜45歳の男女。16型・18型による肛門がん、および6型・11型・16型・18型による肛門上皮内腫瘍(AIN 2/3)は、9〜26歳男性のデータのみです。子宮頸部・外陰・腟の前がん病変とがんは9〜26歳女性、27〜45歳女性は6型・11型・16型・18型による子宮頸部上皮内腫瘍(CIN 1)が挙げられています。30歳以上の男性の方には、そのまま正確にお伝えします。尖圭コンジローマの予防は添付文書に記載がありますが、肛門がんとAINの予防は、その年齢層のデータが載っていません。効果がないという意味ではなく、記載がないということです。接種は、女性の子宮頸がん検診の代わりにもなりません。肛門がん検診を勧められている方は、接種後も検診をやめないよう記載されています。

禁忌と副反応(台湾の承認添付文書に基づく記載です)

ワクチンの成分(酵母を含みます)に重いアレルギー反応が出たことのある方、9価または4価のHPVワクチンを接種してアレルギー反応が出たことのある方は接種できません。記載されている副反応は、注射部位の反応、発熱、吐き気、頭痛、失神です。接種後に失神して転倒することがあるため、添付文書は座って接種し、接種後15分間は様子を見ることを勧めています。血小板減少症や血液が固まりにくい病気のある方は慎重な判断が必要です。妊娠中の接種は勧められません。接種できるか、何回必要かは、年齢と接種歴をもとに診察で判断します。

日本から来られる方へ

日本では積極的勧奨が2013年6月に差し控えられ、2022年4月に再開されました。キャッチアップ接種の経過措置は2026年3月31日で終了し、2026年9月現在、公費の枠はありません。2026年4月以降、定期接種で使えるHPVワクチンは9価のみで、男性への接種は任意接種(自費)です。台湾では公費の対象は中学生に限られ、成人と旅行者は自費です。台湾の健康保険(健保)に加入していない方は、診察・検査とも自費となります。

コンドームの限界と、証拠のある3つのこと

コンドームはリスクを下げますが、ゼロにはしません。覆われるのは陰茎の部分だけで、陰嚢、会陰、鼠径部、肛門の周囲、陰茎の根元に触れれば感染しえます。指針の裏づけがあり実行できるのは3つです。医師の評価に沿ったワクチン接種、どちらかに病変がある間のコンドーム使用(IUSTI 2019年指針は病変が消えるまでの使用を推奨し、部分的な保護にとどまると伝えるよう求めています)、そして禁煙です。同指針は、喫煙と性器のいぼのリスク上昇に用量相関があると記載しています。

受診の流れ・持ち物

  1. 診断の確認:医師の視診が基本です。十分な明るさで外性器全体、肛門周囲、尿道口まで確認します。診断がはっきりしないとき、治療に反応しないとき、出血や潰瘍があるときは生検を行います。初回は評価と説明のみでも構いません。
  2. 病理検査:当院ではレーザー処置の際、まず検体を採取して病理検査に提出し、そのうえで残りの病変を処置します。レーザー蒸散では組織が気化して検体が残らないためです。結果は約7日で出ます。
  3. ほかの検査と持ち物:CDC指針は、尖圭コンジローマは性行為でうつるため、ほかの性感染症の検査が有用だとしています。項目は接触歴と症状に応じて決めます。診療記録の作成のため、パスポート(または居留証)をご持参ください。費用は診察時にご説明します。

よくあるご質問

Q. 処置を受けた日は仕事に行けますか。

局所の処置は外来の処置室で行い、当日ご帰宅いただきます。何日で戻れるという固定の日数は、確かな文献がないため書きません。長時間座る仕事や汗を多くかく仕事の方は、処置の前にお伝えください。

Q. パートナーも一緒に受診すべきですか。

必須ではありません。CDC指針は現在の性パートナーに伝えることを勧め、BASHH指針は定型的なパートナー評価や通知は必要ないとしています。パートナーへのHPV検査は勧められません。必要なのは診察と、ほかの性感染症の検査です。

Q. 一度治療すれば、もう出ませんか。

再び出ることがあります。処置が取り除くのは見えている病変で、体内のウイルスはそのまま残ることがあるためです。IUSTI 2019年指針は再発率をおよそ20〜30%としています。再発は治療の失敗ではありません。経過を見る受診の間隔は、治り具合と新しい病変の有無で決めます。

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403 台中市西区博館二街98号(403 臺中市西區博館二街98號)
診療:月曜〜土曜(日曜休診)/オンライン予約は24時間受付

本ページは昭安泌尿科診所(昭安泌尿器科クリニック)が作成しました。本ページの医学的内容の最終更新:2026年8月(繁体字版と同じ)/日本語版の作成:2026年9月1日/医療監修:陳昭安 医師(泌尿器科専門医)

出典:米国CDC「Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021」Anogenital Warts/IUSTI「2019 European Guideline for the Management of Anogenital Warts」/BASHH「UK national guideline for the management of anogenital warts in adults (2024)」/九価ヒトパピローマウイルスワクチン 台湾承認中国語添付文書(衛部菌疫輸字第001001号)/衛生福利部疾病管制署(HPVワクチン)国立健康危機管理研究機構(JIHS)尖圭コンジローマ厚生労働省 HPVワクチンQ&A厚生労働省 性感染症リーフレット

本ページは一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針に代わるものではありません。症状や検査結果の解釈は必ず対面の診察でご確認ください。薬剤とワクチンの適応・用法・禁忌は、衛生福利部が承認した中国語の添付文書と医師の処方によります。

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