性行為のあと、いつ性病検査を受ける?72時間・2週間・3か月の時期別ガイド
0〜72時間から3か月までの時期別ガイド
この問いの答えは、不安の大きさではなく、その行為から何時間経ったかで決まります。
台中市西区の陳昭安(チェン・チャオアン)医師(泌尿器科専門医)が解説します。
結論から
- 72時間以内なら、先に決めるのは採血ではなくHIVの曝露後予防内服(PEP)の要否です。72時間を過ぎると開始は勧められません。
- 早すぎる時期の陰性は、その一回についての答えにはなりません。
- 尿の検査だけでは、のどと直腸の感染は分かりません。行為のあった部位から検体を採ります。
- 費用は診察時にご説明します。
今どの時期にいるか、30秒で確認
まずPEPの要否の評価から。
論点は「いつ、何を調べるか」へ。
のど・直腸の採取が必要です。
渡航先もお伝えください。
0〜72時間:主役は採血ではありません
72時間以内なら、先に片づけるのは期限のある判断です。台湾CDC(衛生福利部疾病管制署)は、HIV曝露のリスクがある方は72時間以内、できれば24時間以内に医師の評価を受けるよう勧めています。内服の期間は通常28日間で、72時間を過ぎた場合の開始は勧められません。
この時期に採血でできることはまだ限られますが、PEPを始める前に現時点のHIVの状態を確認する必要があるため、評価と検査は同じ受診で行います。医師が見るのは、曝露の形(腟性交・肛門性交・オーラルセックス、挿入側か受け入れ側か)、コンドームの使用、相手のHIVの状態、粘膜の傷や出血、そして経過時間です。
渡航中の出来事なら渡航先もお伝えください。第一選択の注射薬(セフトリアキソン)に耐性を持つ淋菌株はタイ(2025年1〜4月、penA-60 を持つ株が5例)と日本(京阪地域の2018〜2024年の監視、penA-60.001)で報告されており、治療後の追跡の組み立てが変わります。
Doxy-PEP(中国語)(ドキシサイクリンの単回内服)が梅毒の予防として推奨される対象は、台湾のガイドライン(2025年)では男性間で性行為を行う方とトランスジェンダー女性に限られ、淋菌感染症の予防としては推奨されていません。服用した場合も、時期に沿った再検査は必要です。
お薬に関する開示
ドキシサイクリンが台湾で承認されている適応症には、クラミジア・トラコマチスによる成人の合併症のない尿道・子宮頸管・直腸の感染症、非淋菌性尿道炎、梅毒が含まれ、用法・用量は治療用量です。Doxy-PEPで用いる「単回200 mgの曝露後予防」は現行のガイドラインが推奨する用法ですが、添付文書に記載された治療の用法・用量とは異なり、適応外使用にあたります。
外来では処方の前に、用法、期待できる効果の範囲、既知の副作用(胃腸の不快感、光線過敏など)をご説明します。使用するかどうかは、ご自身でお決めいただけます。
ウインドウ期と潜伏期は別の話です
潜伏期は感染から症状が出るまでの期間、ウインドウ期は感染していても検査でまだ検出できない期間です。この2つは長さも意味も違います。以下の表で扱うのはウインドウ期のほうです。
72時間から3か月まで:時期別の検査表
目安です。実際には検査機関の測定方法と医師の判断によります。
| 時期 | 分かること | まだ結論にできないこと |
|---|---|---|
| 0〜72時間 | 現時点のHIVの状態(PEP開始前の基準値) | ほぼ全項目がまだウインドウ期の中 |
| 約10〜14日 | HIV RNA RT-PCR(感染していればこの時期から検出できることが多いと台湾CDCの資料に記載) | その後の時期に沿った抗原抗体検査の代わりにはなりません |
| 約1〜2週間 | 淋菌・クラミジアの核酸増幅検査(PCRなどの遺伝子検査)。症状があれば待たずに受けられます | HIVと梅毒はまだ早すぎる可能性 |
| 約2〜6週間 | HIV第4世代の抗原抗体検査/梅毒のRPR・VDRLは約6週(梅毒トレポネーマを対象とする検査はより早く、約5〜15日) | リスクの高い曝露は3か月後に再確認 |
| 約3か月 | HIVの確認のための再検査 | この3か月の間に新たにあった行為は含まれません |
| 治療後 約3か月 | 淋菌・クラミジアの治療後の再スクリーニング(再感染の確認) | ― |
陰性の結果が示すのは「この時点で、この方法で、この項目を調べた範囲では検出されなかった」ことだけです。ウインドウ期の中の曝露にさかのぼって効くものでも、その後の行為を守るものでもありません。リスクが繰り返しあるなら、話し合うのは曝露前予防内服(PrEP)(中国語)とワクチン、そして検査に戻る間隔です。
間違えやすいのは「何項目か」より「どこを調べるか」
漏れが起きやすいのは項目数ではなく、尿を一度出して終わりにすることです。
- オーラルセックス → のど(うがい液・咽頭ぬぐい液)
- 肛門性交 → 直腸(直腸ぬぐい液)
- 腟・陰茎の接触 → 泌尿生殖器(尿(初尿))
のどと直腸の淋菌感染症・性器クラミジア感染症はほとんどが無症状で、しかも尿では検出できません。日本の公的な診療の手引きでも、咽頭・直腸の感染は無症状のことが多く核酸増幅検査(NAAT)が診断の基本とされています。外来で行為の形を伺うのは、検体をどこから採るかを決めるためです。
のどは淋菌の薬剤耐性が育ちやすい部位で、治療への反応も泌尿生殖器より劣ります。ここを飛ばすと、見えない感染源が残ります。
日本の公的検査・郵送検査をご利用の方へ
日本の保健所の無料・匿名のHIV検査は予約制で、結果はおおむね一週間、検体は血液(と尿)が中心、証明書や診断書は発行されません。目安としてHIV抗体は感染後およそ1か月で検出され、確定的な陰性の判断は曝露から3か月以降とされています。即日検査は約20分で結果が出ますが、偽陽性が約1%あるとされています。郵送検査の結果は診断ではなく、陽性であれば医療機関での確認検査と診察が必要です。
当院ではのど・直腸のぬぐい液も採取でき、曝露から日が浅い時期の HIV RNA RT-PCR も選べます。厚生労働省のリーフレットでは、性感染症の受診先は男性は泌尿器科や皮膚科、女性は産婦人科と案内されています。当院は泌尿器科です。
当院は台湾CDCが公告する匿名検査の実施医療機関です(医事機構コード 3503241524)。当院の匿名検査はHIVの血液迅速検査で、健保カード(台湾の健康保険証)や身分証明書がなくても受けられ、結果は番号でお伝えします。当院のすべての診療時間で受けられます。ただし初期のスクリーニングであり、証明書・診断書は発行されません。正式な報告書が必要な方は自費の検査をご利用ください(自費の検査では、診療記録の作成のため身分を確認できるものが必要です)。なお梅毒の匿名検査は対象となる方と試薬の供給に制限があります。また梅毒・淋菌感染症・HIV感染症は、法律に基づき主管機関へ報告する義務があります(個人情報は伝染病防治法 §10 により守秘義務の対象です)。
受診の流れ・持ち物
- ご連絡。お伝えいただくのは、何日経ったか・どういう形だったか・症状があるかの3つです。
- 診察。曝露歴と部位から、今日の項目と後日の項目を分けます。72時間以内ならPEPの要否も評価します。
- 採取。尿(初尿)、血液、のど、直腸から必要な検体を選びます。
- 結果のご説明と、次に戻る日の確定。
診療記録の作成のため、パスポート(または居留証)をご持参ください。ご自分で抗菌薬を服用された場合は、そのままお伝えください。服薬後の検査では、菌が抑えられていても消えきっていないことがあります。台湾の健康保険(健保)に加入していない方は、診察・検査とも自費となります。当院は独立した診察室で動線を分けており、待合で受診の理由を説明していただく必要はありません。費用は診察時にご説明します。
よくあるご質問
Q. オーラルセックスだけでも検査は必要ですか。
A. 実際の曝露によります。のどに曝露があった場合、尿の検査だけでは、のどに淋菌やクラミジアがいないことの説明にはなりません。咽頭の感染は通常無症状です。
Q. 72時間を過ぎました。もう手はないのでしょうか。
A. 「PEPの開始が勧められない」という意味です。次にすべきは再検査の日を決めることです。約1〜2週間で淋菌とクラミジア、約2〜6週間でHIVと梅毒、リスクの高い曝露は3か月後に再確認します。
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ご予約・アクセス
診察は中国語で行います。英語での対応も可能です。日本語は筆談・翻訳アプリでのご案内となります。
昭安泌尿科診所(昭安泌尿器科クリニック)/台中市西區博館二街98號
403 台中市西区博館二街98号(英語表記:Morning Urology Clinic)
診療:月曜〜土曜(日曜休診)/オンライン予約は24時間受付
本ページは昭安泌尿科診所(昭安泌尿器科クリニック)が作成しました。本ページの医学的内容の最終更新:2026年8月(繁体字版と同じ)/日本語版の作成:2026年9月1日/医療監修:陳昭安 医師(泌尿器科専門医)
出典:衛生福利部疾病管制署・台湾感染症医学会『台湾成人梅毒および淋菌感染症の臨床診断・治療・予防ガイドライン』第1版(2025年8月)/衛生福利部疾病管制署(台湾CDC)(曝露後予防内服、匿名検査、薬剤耐性監視)/厚生労働省「性感染症」リーフレット/厚生労働省 HIV検査・相談マップ「よくある質問」/東京都多摩府中保健所 HIV検査/郵送検査で陽性だった場合の対応について/国立健康危機管理研究機構(JIHS)ACC 診療の手引き/Workowski KA, et al. Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep. 2021;70(4):1-187/Emergence of Ceftriaxone-Resistant Neisseria gonorrhoeae penA-60-Carrying Strains, Thailand, 2025. Emerg Infect Dis.
本ページは一般的な医療情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針に代わるものではありません。曝露後予防内服の要否、調べる項目、採取する部位と再検査の時期は、実際の曝露歴・症状・検査結果をもとに医師が判断します。医薬品に関する記載は台湾衛生福利部が承認した中国語の添付文書によります。本文中のDoxy-PEPの用法はガイドラインが推奨する適応外使用です。薬剤耐性に関する記載は台湾CDCおよび各国の監視報告に基づくもので、最新の統計は各機関の公告をご確認ください。症状や検査結果の解釈は必ず対面の診察でご確認ください。